# Ethereum のスケーラビリティ実現への道のりを深掘りする

> Ethereum のビジョンは、ブロックチェーンのトリレンマ問題を解決するブロックチェーンになることです。つまり、分散性を維持したまま、よりスケーラブルで安全なものになるということです。

著者 Shodipo Ayomide、2022年9月19日 公開。Web 版：https://blog.shodipoayomide.com/ja/deep-dive-into-ethereum-journey-to-achieving-scalability

![](https://blog.shodipoayomide.com/banners/Deep-Dive-Into-Ethereum-Journey-To-Achieving-Scalability.png)

2015 年に Ethereum が無事にローンチされた後、Ethereum はその潜在能力を発揮するのを妨げるいくつかの問題に直面しました。需要の高まりによってネットワークは混雑してトランザクションコストが高騰し、急速な成長によってノードの運用は難しくなり、さらに Proof-of-Work のコンセンサスメカニズムでは Ethereum を持続可能なものにできていませんでした。

これらの問題に対処するため、Ethereum はネットワークのアップグレードに乗り出し、そのアップグレードを 5 つのフェーズに分けました。それが Merge、Surge、Verge、Purge、Splurge です

![Ethereum の 5 つのフェーズ](https://i.ibb.co/6PK0hSM/miles.jpg)

*Ethereum アップグレードの各フェーズを表した図" [https://twitter.com/milesdeutscher/status/1550315295402668032?t=0M6hOoA6VYZo2ehiodXoIw&s=19]*

なお、これらのフェーズは順番に進むのではなく、並行して進んでいる点に注意してください。

# The Merge（マージ）

Ethereum のスケーリングに向けた壮大な計画の最初のフェーズは 2022 年 9 月 15 日に実施され、これにより Ethereum は、エネルギーを大量に消費する Proof-of-Work モデルから環境に優しい Proof-of-Stake モデルへと移行しました。

マージで何が起きたかというと、PoW で動いていた Ethereum の実行レイヤーであるメインネットが、新しい PoS コンセンサスレイヤーである Beacon Chain と結合されたのです。現在、ネットワークは ETH のステーキングによって保護されています。

### Beacon Chain

Beacon Chain は 2020 年 12 月 1 日にリリースされました。これは PoW の Ethereum ブロックチェーンと並行して動いていた PoS ブロックチェーンです。Proof-of-Stake のロジックを試験運用し、メインネットに統合する前にそれが健全であることを確かめるために作られました。マージが完了した今、ブロックチェーンが 2 つあるわけではなく、PoS の Ethereum チェーンが 1 つあるだけです。

### マージの成果

**持続可能性の向上** - Ethereum の根本的な再構築によってエネルギー消費量は 99.95% 削減され、Ethereum はより持続可能なものになりました。この再構築によって、Ethereum はアップグレード可能なものにもなりました。
**セキュリティの向上** - Proof of Stake によってネットワークへの参加が民主化され、より高いレベルのセキュリティにつながっています。マージによって、インターネット接続と十分な ETH 残高さえあれば誰でもネットワークに参加できるようになりました。Ethereum にはすべての PoS ブロックチェーンを合わせたよりも多くのバリデーターがいて、ステーキングされている ETH の量を考えると、Ethereum を攻撃するのは事実上コストが高すぎます。
**ETH 供給量の削減** - PoW モデルのもとでは、流通に放出される ETH の量は 1 日あたり約 13,000 ETH（マイニング報酬）でしたが、マージが完了した今、流通に放出される ETH の量は 1 日あたり約 1,600 ETH（ステーキング報酬）と見積もられています。これにより、新規 ETH の発行量はおよそ 90% 減少します。また、Ethereum は毎日約 1,600 ETH をバーンする予定です。

# The Surge（サージ）

サージは、Ethereum がシャーディングを導入するフェーズです。シャーディングという概念はブロックチェーンの世界に特有のものではなく、もともとはコンピューターサイエンスの概念で、メインのデータベースの負荷を減らすために、データベースをシャードと呼ばれる小さな部分に分割するというものです。

![](https://i.ibb.co/LQ0DxqF/png-20220916-164227-0000.png)

*Ethereum のシャードチェーンの概要*

シャーディングの目的は、トランザクションの速度を上げ、ネットワークの混雑を緩和することです。

Ethereum の場合、シャーディングが実施されると、ネットワークは 64 個のシャードに分割され、それぞれのシャードは独自のステート、アカウント残高、スマートコントラクトを持つミニブロックチェーンとして機能します。

バリデーターは Ethereum ネットワーク上でブロードキャストされるすべてのトランザクションを検証する必要がなくなり、代わりに自分のシャード上の新しいブロックの検証に集中します。その後、128 人のバリデーターからなる委員会がメインチェーン上で承認します。

### シャーディングの特徴

**誰でもノードを運用できる** - シャーディングが導入されるとハードウェア要件が下がるため、分散性を犠牲にすることなくスケーリングを実現できます。バリデーターは Ethereum のデータベースのデータ全体を保存する必要がなくなるので、データ保存のコストも下がります。

**ネットワーク参加の増加** - シャーディングではネットワークが小さな部分に分割されるため、トランザクションの高速化が可能になります。つまり、トランザクションをより速く、より効率的に処理できるということです。

### シャードチェーンのバージョン

バージョン 1：**データ可用性** - ハードウェア要件が下がるため、個人のコンピューターやスマートフォンでも Ethereum を動かせるようになります。これにより参入障壁が下がり、誰でも参加できるようになるので、ネットワークのセキュリティも高まります。

バージョン 2：**コード実行** - このバージョンでは、シャードチェーンに追加機能が加わり、メインネットにぐっと近いものになります。コードを実行し、トランザクションを処理し、独自のアカウント残高とスマートコントラクトのセットを持てるようになります。シャード間の通信も可能になります。
バージョン 1 がもたらす性能向上（つまり毎秒 100,000 トランザクション）を考えると、シャードチェーンをバージョン 1 から 2 にアップグレードする必要があるかどうかについては、コミュニティで議論が続いています
当初、Ethereum はマージの前にシャーディングを実施することを考えていましたが、L2 スケーリングソリューションの台頭によって、PoS への移行のほうが重要であることが明らかになりました。
ロールアップなしの Ethereum は 15〜40 tps、ロールアップ単体では 1,500〜4,000 tps ですが、シャーディングとロールアップの力を組み合わせると、約 100,000 tps を実現できます。

# The Verge（バージ）

バージは、Verkle ツリーが導入されるフェーズです。Verkle ツリーは、Merkle ツリーを強力にアップグレードしたものです。バージはストレージを最適化し、ノードのサイズを削減することを目指しています。前提として、まずは Merkle ツリーとは何かを理解しておく必要があります。

### Merkle ツリーとは

Merkle ツリーは、暗号学的ハッシュアルゴリズムを使う二分木だと説明できます。データの正しさを効率的に検証すると同時に、検証に必要なメモリを削減します。Merkle ツリーの大きな利点のひとつは、他のデータ構造と比べて占有する容量が少ないことです。

Ethereum は現在、Merkle Patricia ツリーと呼ばれる Merkle ツリーを使っています。これは、すべてのキーと値の対応関係を保存でき、なおかつ暗号学的に認証されたデータ構造を提供します。

### Verkle ツリーとは

![](https://i.ibb.co/wQzGKJB/Screenshot-2022-09-17-at-22-56-00.png)

*16 分木の Verkle ツリーの図（Vitalik.ca）*

Verkle ツリーは Merkle ツリーと非常によく似ていますが、最も重要な特徴はプルーフサイズの効率性です。10 億個のデータポイントを持つツリーのプルーフを提供するのに、Merkle ツリーでは約 1 キロバイトが必要ですが、Verkle ツリーでは 150 バイト未満で済みます。Verkle ツリーは多項式関数に基づいており、Polynomial Commitment（多項式コミットメント）を使ってデータを表現します。

プルーフサイズが優れている結果、Verkle ツリーは必要となる複雑な暗号処理の量を減らし、さらに Ethereum ブロックチェーンをより効率的でスケーラブルにする機会を生み出します。

# The Purge（パージ）

パージは、ネットワークの混雑を緩和するために履歴データを削除する、いわばクリーンアップのフェーズとみなされています。Vitalik によれば、パージの目的は、ハードドライブに必要な容量を削減し、Ethereum をシンプルにし、ノードが履歴を保存しなくてもよいようにすることだそうです。

先ほど述べたように、ハードウェア要件の削減は分散性を高め、その結果ネットワークのセキュリティも向上させます。

# The Splurge（スプラージ）

このフェーズを Vitalik は「楽しい部分（the fun stuff）」と呼んでいます。他のすべてのアップグレードが完了した後に、ネットワークがスムーズに動くようにすることを目指しています。

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# まとめ

将来、Ethereum が 100% 完成したとき、それは L2 ブロックチェーン、データ可用性プロトコル、サイドチェーンが集まったような姿になるでしょう。Ethereum の未来は明るく、私はワクワクしています。
